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[読書][SF] 時間封鎖 〜時間封鎖 3部作(1)〜

ある晩、空から星が消えた。
地球は謎の膜で覆われ、地球での1年が外では1億年!
このままでは数十年後には膨張した太陽に飲み込まれてしまう!?
膜をつくった存在「仮定体」の目的とは?

世紀末的なSF要素の中に人間模様が丁寧に織り込まれた、人間味のある面白いお話でした。
異常な状況下で生きる普通の人々のリアル
小難しい説明はほとんどなく、詩的過ぎることもなく、叙情的だけれどもちゃんとSFしていて、ぐいぐい引き込まれました。

「時間封鎖」は全部で3部作。これはその1作目です。

原題:SPIN

※以下、致命的なネタバレはなし。



第一印象は「スタートレックみたい」。SFの皮を被った人間ドラマといった感じの。
ただ、スタートレック(特に「新スタートレック」を思い浮かべながら)では、専門的訓練を受けた士官たちが高度なスキルや人間力を駆使して問題を解決していくけど、この小説では、ごく普通の一般人が何の心の準備も覚悟もないままに突然混沌の中に放り込まれ、それでも日常を生きていかねばならない様がリアルに描かれていて、SF要素もドラマ要素も両方楽しめました。

主要な登場人物は3人。
主人公タイラーと、幼馴染みの姉弟ダイアンとジェイスン。
過去と現在を行ったり来たりする章立てで、タイラーの一人称で語られます。

ダイアンとジェイスンが生まれたロートン家は、父親E・Dが宇宙関連の事業で成功し、とても裕福。とりわけ聡明なジェイスンは後継者として育てられ、自身も進んでその期待に応えようと努力する。

一方、タイラーの母親はロートン家の家政婦として働いており、父親は事故で亡くなっている。

星が消えた、つまり「スピン」が始まった時、彼らはまだ10代前半の多感な時期。
その後の半生がタイラーによって回想されます。

時間の彼方に振り飛ばされたくなかったら、なにかにしがみつくしかない。

人生の意味を見失いそうな中で、医者になったタイラーのように普通に生きる(というのも変だけど?)者もいれば、ダイアンのように新興宗教にはまる者、ジェイスンのように謎を解こうとする者も。

事態が大き過ぎると次第に感覚が麻痺してきて慣れた気になるけど、常に前途には闇が立ち込めているのだという現実にふとした時に否応なく気付かされ、絶望に吸い込まれそうになる…。

タイラーは子どもの頃からダイアンに恋心を抱いており、ダイアンのほうもタイラーをにくからず思っていますが、ふたりの距離が縮まるかと思えば疎遠になり、下世話な言い方ですがくっつきそうでくっつかないまま年月が過ぎていきます。依然として地球はスピン膜で時間的に置いてきぼりのまま、偽物の太陽が昇っては沈む日々。

一方ジェイスンは、科学と心中するかの如く危なっかしいほど一生懸命。まるで人類の将来を一身に背負ってひとりで何とかしようと生き急いでいるかのような。

タイラーの回想の中に、子どもの頃のこんな思い出があります。
ジェイスンが今にも壊れそうな古い自転車で全力疾走し、転倒する。
途中で止まるとか、速度を緩めるとか、そういうことを一切せずに、自分ではもうどうにもならなくなるまで走り続けるジェイスン
まるで彼の生き方を象徴するような光景…。

私はジェイスンのくだりでちょいちょい不覚にも泣きました。

全体的に人間くさくてあたたかみがあります
ほんの脇役でしかない人物の人生にも端的にスポットが当たり、ひとりひとりの人生があり考えがあり想いがあるんだよねぇと当たり前なことに思いを馳せてしみじみとした気持ちに。

SF小説であることを忘れそうになるくらい。
とはいえSFが読みたくて手に取ったわけなので、多少まどろっこしさは感じました。特に序盤の思春期の初恋ストーリー展開とか。
ですが、気が付くとすっかり感情移入していました。
少々退屈な描写があったとしてもそれを差し引いてまだ驚きがあり余るほどのびっくり展開。さんざん読者を引きつけてネタをちらつかせておいておあずけをくらわせるので、ただでさえ続きが気になって仕方ない。

少しずつ明らかになる仮定体。心が躍ります。

それにしても「仮定体」という無機質で抽象的な呼称はいいですね。これといった特定のイメージが付きにくいので、ただただ不気味で。

スピンが解除され時間封鎖が終了した後、新たな舞台で2作目の「無限記憶」へと続きます。

関連記事:[読書][SF] 無限記憶


以上。

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