[書籍] ホームズ連盟の事件簿
ホームズの周囲の人たちが主役の短編集。
![]() | ホームズ連盟の事件簿 北原尚彦 祥伝社 2014-10-10 by G-Tools |
全体の感想
ホームズ物語の脇役達(ワトスン君は主役級だけど♪)にスポットを当てた、いわばスピンオフのような設定にはたいへん惹かれました。「ホームズ連盟」と呼ぶにふさわしいそうそうたる顔ぶれで(あのお方がいませんぞ?ってのは、続編に期待するとして)、目次を見てわくわく。
ホームズはほとんど出てきませんが、ホームズの不在がかえってその存在感を増すような、ホームズなしのじれったさが心地いいような。みんなホームズ大好きだもんねー!!ホームズのジグソーパズルを分担して作り上げているようでもあります。まず四隅から、そして端っこから、輪郭を、少しずつ。
全体的に幸玉大放出という感じで、ほんわか心が温まりました。尖った濃いめのホームズに浸かりたいって時にはちょっともの足りないかも。
北原さんのホームズは温かいなぁ。
しかしながら、ワトスン君以外の人も一人称で語ってるので、違和感が半端なかったですね。ワトスン君はいつも、執筆に至った経緯とか理由とかを時に言い訳がましく(おっと失礼!)説明してくれるけど、今回はむしろワトスン君以外のみなさんにそれをお願いしたい!最初にワトスン君の話から自然に入り込めてしまうだけに、以降の語り口に戸惑うのですよね。いつ書いたの?どうして書いたの?誰に見せるの?ウィギンズ、君はいくつなんだ(いつ回想してるんだ)?とか、気になり出して仕方がなかったです。
個別にひとこと感想
掲載順に。
可もなく不可もなしの話は面白いほど忘れるもので。
ケンジントン診療所の怪
ワトスン君が書いた、但しホームズが出てこない話。この本の序章。
メアリの人格が肉付けされ、ワトスン夫妻の幸せな暮らしが垣間見れます。
読書好きな泥棒
即席の名探偵ハドスン!?
ハドスンさんがとってもチャーミングなんだけれど、ちょっと説明くさい気がしました。ホームズを偲ぶ様子は図らずも目頭が熱く・・・!大空白時代。そうだよね、慕ってたホームズさんはもういない、なのに部屋はそのままにしておけだなんて、ねぇ。ラストはもっっっと感動したかった!
グレヴィレア屋敷の秘密
ホームズへの対抗意識よりも事件よりも何よりもレストレード警部の家庭の様子が印象に。
バスカヴィル秘話
「バスカヴィル家の犬」の某登場人物の手記みたいな何か。なんかいろいろと忘れてるので正典読み直さなきゃ、と思いました。
不正規隊長の回想
これが一番好きだなー!ほろりと来ました。
おっと、僕の部下をどぶねずみ呼ばわりは困るね、ジョーンズ警部。
なんてことないこの台詞にグッときてしまった!ホームズにはもう慣れっこと思いきや、むしろ読み始めた頃ほどは感動しなくなってきちゃって寂しい・・・そんな矢先に、です。
だってウィギンズ少年にとってホームズは、ヒーローだから。
そのウィギンズ君の話なので、ホームズがただもう普通にかっこいい!素直に憧れが現れてるから、ストレートに同調してしまいます。
ホームズさんに救われて、仕事のお手伝いができて、褒められて、認められて、もうめっちゃ嬉しい俺頑張るホームズさんのためなら地の果てまでも馳せ参じます!あのワトスン先生より付き合い長いんだぜってみんなに自慢してえーーー!!!ってな具合にリスペクトが漏れ出てました。
で、一体いつ回想してるんだろう?まだ若そうだけど、どこかで読み書きを覚えて書いたのかな?
女豹と毒蛇
アイリーンがお見事!なお話でした。
全体的に「いい子ちゃん」なオーラをまとっていて、温かいけど温いなって感じも否めませんが。
ともあれ、続編が楽しみです。とりあえずホームズの兄上が出るというだけでも読む甲斐ありそう!
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以上♪
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